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認定理学療法士・NST専門療法士がリハビリに関する内容を書くブログ

トレーニングをしないと筋力は落ちるのか?~ディトレーニングの考えと応用~

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定期的な運動は筋力を維持する?

高齢者は、加齢による影響もあり筋肉量や筋力が低下している方がほとんどです。筋力低下は転倒・転落などを助長し、健康寿命を脅かす主原因ともいわれているので、リハビリテーションを行う際は特に筋力向上を目標に対応しています。リハビリやトレーニングなどをすることで筋力は一時的に増加し、対象者は元気になって退院されますが、私には疑問がありました。。

退院して何もしないと筋力はどうなるんだろう?

実際、退院して数か月後に再度筋力測定をすると筋力が低下している人としていない人に分かれていて、この違いを調べると運動習慣に大きな違いがあったんです。今回はトレーニングでつけた筋力を維持するための運動習慣について紹介したいと思います。

目次

①運動しないと筋力はおちるのか?

②筋力を維持するための運動習慣

③私が推奨する運動プログラム

④まとめ

 

①運動しないと筋力はおちる?

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レーニングでついた筋力や筋量は運動しないと落ちると思いますか?

えっっ、、落ちないんですか?

・・・落ちちゃいますね。当たり前のことを聞いてすいません。レーニングを休止することをディトレーニンを呼び、このディトレーニングの期間が長期に及ぶほどトレーニングの効果が減少しくんですが、ただどのくらいの期間で減少していくか知らない方が多いのではないでしょうか?。Zechらは¹⁾、65-94歳の70名の対象者に2回/週、60分の運動介入を12週間実施したのち24週運動介入を辞めた状況で身体機能の経過を観察しました。その結果、、筋力・筋量とも運動介入後12週間で半減し、24週でほぼトレーニング開始前の状態に戻ることが判明しました。ただ24週間=6ヶ月間なにもしなくなると元の状態に戻るということは、運動を少しでも継続したら維持されるんじゃない?と思い調べたところ調査した研究がありました。

 

②筋力を維持するための運動習慣

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では、トレーニングの回数や頻度を減らすと向上した筋力はどう変化するのか? 

Bickelらは²⁾、成人男女約40名(平均年齢27.5歳)に対して3回/週のペースで16週間膝伸展筋力のトレーニングを行ったのち、16週間トレーニングの頻度を減らして骨格筋量・筋力の推移を調査しました。結果、最初の16週間で骨格筋量・膝伸展筋力とも増加しましたが、16週間のディトレーニングで骨格筋量はトレーニング開始時と同程度まで減少しました。しかし、筋力は16週間のトレーニング時より30%減少しているだけで約4か月何もしなくてもトレーニング開始時より筋力が増加していることが判明しました。

また、Tokumaruらは³⁾高齢者50名を対象に膝伸展筋力のトレーニング(70%MVC)を1-2回/週のペースで24週間行ったのち、1回/週のペースに減らし8週間施行して筋力の推移を調査しました。結果、最初の24週間で開始時より筋力が約30%増加し、その後8週間運動の頻度を減少させても筋力が低下することはありませんでした。

これらの研究から言えることは、運動の量が減っても筋力は維持できるということです。 これは、筋力が筋力=筋肥大ではなく神経因子など他の要素にも関連していることが要因と考えられており、一度獲得した筋力はすぐには落ちないということが言えると思います。

筋力と神経因子に関して興味がある方は下の記事をご覧になってみてください。

www.rehabilitation-gift.com

ただ、高齢者に関しては加齢による筋力低下の影響もありますので、1-2回/週程度疲労感が出る運動をすれば筋力は保たれる可能性が高いと思います。

 

③私が推奨するディトレーニングプログラム

スクワットやカフレイズなど全身を使う運動を疲労感が出るまで×3-5セットを1-2回/週

私がリハビリテーションで担当させていただく方へ退院時に作成する運動プログラムの1例です。このプログラムは高齢者をターゲットにしていますので若年者の方はまた細かい設定をした方がいいかもしれません。退院後の運動プログラムで心掛けている点は①家でも簡単にできる②全身(特に下肢)を使える運動③疲労感が出るまで行うの3点です。退院後のプログラムでは継続するかつできるだけ多くの筋肉を使うという点が重要と思っています。高齢者は下肢の筋力が低下しやすい特徴がありますので下肢のトレーニングを必ず1種目は入れるようにしています。

③の疲労感がでるまでに関して、筋力トレーニングでは総負荷量が重要で低負荷でも回数をこなせば筋力・骨格筋量は増加することが証明されています。

 以上の点から私は全身を使う運動を疲労感が出るまで×3-5セットを1-2回/週を退院後の自主運動として取り組んでいただき、リハビリによる筋力向上を維持してもらうようにしています。

*(注意点)*

もちろん、筋力トレーニングは心肺機能に負荷を与えますので心臓病や呼吸器疾患など内部疾患をお持ちの方には運動を控えていただくこともありますので、テーラーメイドな対応が必要になってくるとは思います。

④まとめ

・トレーニング後運動を長期間休止(ディトレーニング)すると筋力・筋量は減少するが、筋力は比較的維持される。

・運動の頻度を減らしても継続して運動すれば筋力は維持されやすい。

・トレーニングは継続が重要であり、自分の体調・習慣にあった運動習慣を持つことが筋力の維持・向上につながる。

 

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文献

1)Zech A et al:Residual effects of muscle strength and muscle power training and de-
training on physical function in community-dwelling prefrail older adults:arandomized
controlled trial.BMC Geriatr 2012.12:68.

2)Tokumaru K,et al.:The Effects of Manual Resistance Training on Improving Muscle Strength of the Lower Extremities of the Community Dwelling Elderly .J Phys Ther Sci.23(2):237-242.2011

3)Bickel CS,et al.:Exercise dosirlg to retain resistance training adaptations in young and
older adults.Med Sci Sports Exerc.43(7):1177-87,2011.